【初心者向け制作講座】ノベルゲームの制作マネジメント・作り方 | 第7回 コミュニケーション
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コミュニケーションをとれていますか。そういう質問をされる事はノベルゲーム制作の中でもあまりないかもしれません。
コミュニケーションは当然、とれている。そういう方が大半だと思われます。
ただ、ここで述べているコミュニケーションは通常会話しているようなコミュニケーションとは少し意味が異なっています。
学生サークルと社会人サークルの大きな違いが出てくるのがこのコミュニケーションです。
学生サークルは、大学や高校、あるいは中学という場で定期的にあつまり活動をすることが多いと思います。
しかし、社会人サークルではそうはいきません。
特に元々の知り合いを集めて結成したサークルならばまだしも、ネット上で声をかけて集めたサークルなどでは、現実の場に集まって定期的に会議をするというのは非常に困難なことが想像できると思います。
プロジェクトにおけるコミュニケーションの例【依頼】
依頼の発行者と、依頼の受理者が存在していると思います。依頼元と依頼先と言い換えてもいいですが、シナリオ・イラスト・音楽・ボイス・動画なんでもいいですが、それらを誰かしらが依頼し、そして依頼された人が作業をして成果物をつくる。
その際に、SkypeやDiscord,あるいはgoogleハングアウトやそれに類するアプリケーションを利用して電話会議、あるいはメールでの依頼をすると思います。その依頼時に、一度きりで文字や音声で依頼者の考えているビジョンを余すところなく伝えるのは難しいです。
また依頼の仕方についても、ある時はメール、ある時は電話などばらばらな依頼の仕方だと依頼元も依頼先も複数の依頼が進行し始めると混乱が生じてきます。
依頼に関するコミュニケーションにおいては、メールなどの従来型のやり取りをやるのもひとつのパターンではありますが、Asanaを利用する。あるいは、Backlogを利用する。そして、それらタスク管理ツールと合わせ技でSlack/Discord等を導入するというのが後々見返した時、手戻りの生じないベターなソリューションだと思われます。
人間は忘れる生き物なので、数か月前に話した事をSlack/Discordなどに簡単にまとめておくだけでも、記憶を呼び起こす呼び水となります。そして、どういう依頼をしたのか、その依頼がどういう状況なのかを適宜トレースできるようにするのが前述のタスク管理ツールたちです。
基本的にはコラボレーションツールと呼ばれるSlackやDiscordに加えて、タスク管理ツールであるBacklogやAsanaといったサービスを併用するとバランスよく制作プロジェクトを進めていけるのではないかと考えております。
プロジェクトにおけるコミュニケーションの例【スケジュール】
認識齟齬による問題が生じやすいのが依頼に次いでスケジュールです。人によって中旬や中盤、午後一という言葉の受け取り方、理解の仕方が異なるという認識をしておいたほうがいいでしょう。
よく言われているのが、1週間前、そして2日前にリマインドするという方式です。これは利用しているタスク管理ツールによっては標準で装備されていることもある機能ですので確認してみるといいかもしれませんね。
スケジュールは一度遅れだすと、連鎖的に遅れだし、制作に参加しているメンバのコミュニケーション頻度や密度を低下させ、品質面での劣化を招くなど大きな問題が発生します。
基本的に遅れだしたスケジュールはどこかで巻き返す必要がありますが、遅れても問題ないように初めにあらかじめバッファをもっておくことが重要です。
IT系のプロジェクトでは、バッファは概ね2割から3割程度が最適といわれています。
つまり1ヵ月の大きなタスクであれば、予備として1週間をプラスして5週間のタスクにするといった塩梅です。
ちなみに、先ほど1ヶ月間のタスクという風に表現してしまいましたが、タスクは細かく切れば切るほど遅れだした時に、すばやく手が打てる一方で、普段の管理コストが上昇するという関係にあります。
ほどよいタスクの単位というのは、プロジェクトの規模やプロジェクトを管理しているメンバの習熟度や経験にもよるので一概にはいえないのですが、参考としては定期的に集まって進捗を報告しあう会の単位で設定するとよろしいのではないかと思われます。
例えば、週1回進捗会議を開いているのであれば、1週間単位でタスクを区切る。2週に1回なのであれば、2週間単位でタスクを区切る。
ただし、1ヶ月を越えてくるとタスク自体の進捗が見えなくなってくるため、注意が必要です。
また、上記週1や2週に1度のタスク管理では0or1という。未完了か完了かという管理でも十分に対応することができますが、1ヶ月単位の場合は、タスクを跨いだ尺度が必要です。
ここで言っているタスクを跨いだ尺度というのは、シナリオの10%とイラストの10%の意味はほぼ同じ程度の時間、あるいは労力であるべきということです。
イラストの10%が例えばラフスケッチができた段階なのか、それとも構図が決まっただけなのか定義が必要です。
イラストの10%が構図が決まっただけなのに、シナリオの10%が10万文字予定のシナリオの1万文字まで執筆完了ということを意味していた場合、プロジェクトの進捗管理やコミュニケーションの仕方に大きな違いが生まれる為です。
この場合は、例えば百分率のパーセンテージで表現するのではなく、シナリオ10%やシナリオ20%という単位を作って、それぞれ完了か未完了かを判定するような方式にした方がよいでしょう。
結びに
ノベルゲームのプロジェクトは単に同人誌をつくるということよりもプロジェクトの規模が大きくなり、様々なメンバと関わることになります。中には全然知らない分野で協力を求めることになった方もおられるでしょう。
コミュニケーションで、自分が伝えたいことがきちんと伝わっているのか。それを文字で残しているのか、相手の言葉の意味をきちんと把握できているのか、時々でいいので振り返ってみてください。
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