昔懐かしい泣けるフリーノベルゲームや名作ADVのおすすめ

ノベルゲーム

懐かしさを覚える要因は多くありますが、共通しているのは私たちの心の奥底に仕舞われた風景のようなものなのかもしれません。

「春のあけぼの」「夏の田園風景」「秋のススキの草原」「冬にしんしんと降り行く雪と火鉢」

どこかでみたことがないはずの景色でも、何故だかわたし達はそれを懐かしく思うことがあります。

あるいは単に昔やんちゃをしていたいがぐり頭の少年が、成長して誰かに気遣いが出来る青年になっていた時もどこか懐かしさを覚えます。

人の数だけ、懐かしいと思える仕草や物語がありますが、それらを探す一助になればと思います。

ここではそんな作品を紹介していきます。

1 2000年代のフリーノベルゲーム

クリックシネマやビジュアルノベルと呼ばれるより昔、ノベルゲームやあるいはサウンドノベルと呼ばれていた頃の作品を中心に紹介します。
2000年代のノベルゲーム作品では、画面解像度は640×480や800×600のサイズが多いです。

1.1 送電塔のミメイ

【Story】

廃墟離島ともよばれる小さな島、そこに巣くうコゴリ鬼

その退治を役目として負う少女ミメイと、そして眼帯の青年夜刀

作品の名の通り、送電塔の立ち並ぶ小さな島で描かれる物語

【おすすめポイント】

送電塔のミメイは非常に多くのノベルゲーム製作者に影響を与えている作品といっても過言ではない名作です。

物語の舞台や登場人物などは非常にコンパクトにまとまっています。

物語を彩る文も絵もひとりの作者の手によるものという事実を頭に入れておくとより一層楽しめるかもしれません。

作品を通じて、里見しばさんの静かな筆致と穏やかな絵が連なり一つの物語を紡いでいきます。

ミメイとヤト。2人のこれまでとそしてこれから。行き着く先がどこになるのか、そして凝り鬼とはなんなのか。

はらはらどきどきの物語は、いつしか静かな本当に静かなものがたりへ変わっていきます。

最後まで読み終わるとえも言われぬなんともいえない心地よさに包まれるかもしれません。

1.1 送電塔のミメイ

1.2 True Remembrance

【Story】

忘れたいほど悲しい記憶を持った人々が訪れる、白い街。
その街で記憶を封じる職業、『封士』を生業にする青年、黒目。
黒目のもとに客としてラという少女が訪れる。

彼らの日常と、街を訪れる人々との出会い、そして小さな秘密をつづった物語。

【おすすめポイント】

True remembrance は里見しばさんの記念すべき第1作目のノベルゲーム 作品となります。

記憶にまつわるほろほろそ切ないお話で、和風の送電塔のミメイと洋風じたてのTRUE REMEMBRANCEはどちらも根強いファンが付いている良作や名作のカテゴリの一品です。

里見さん特有の静かな文と、背景や音楽、あるいは登場人物の息遣いから漂ってくる街の静謐さのマッチ具合はこの頃から健在で、良質な物語を紡いでいます。

作品を通じて大きな謎として描かれるモチーフは記憶です。これはある種の里見しばさんのライフテーマなのかもしれません。

なぜならば後述の同作者の作でも記憶というのが一つの鍵になってくるためです。

蝶々のイベントスチルが印象的な当作品ですが、物語自体はそこまで長くないので、どこかの休日にでも一息にプレイできるかもしれません。

1.2 True Remembrance

【Story】

穏やかな風が吹き清廉な水が溢れ、実り豊かな彩華国。
この地は神の花――彩花の恵みによって護られている。
白・金・銀・翠・蒼・紫・赤・黒。
八色の恵みを湛えて、花は咲き誇り満ちていく。

一年に渡って咲き続ける彩花が、唯一散りゆく年の瀬のこと。
彩華国の長、黒氏の妹・葉月は年越しの『花宴』で、彩花に感謝を捧げる『花乙女』の任に抜擢される。
花を散らした彩花の恵みを宿す依代となり、年明けには感謝と共に花へと恵みを還す。
純粋なる乙女だけに許される巫女は、彩華国の少女にとっては憧れの的だった。
葉月も例外ではなく『花乙女』の大役に選ばれたことを誇り、嬉しく思っていた。

若くして国を支える黒氏であり、優しい兄でもある深影。
深影の親友であり、神職である色理師達を束ねる白氏の白。
明るく元気でいつでも側で見守っていてくれる従者の紗茶。
初めて降りた街で出会う、不器用な優しさを見せてくれた少年。笑顔が眩しい少女。

『花乙女』になって、世間知らずの箱入り娘だった葉月の世界は驚くほどに広がっていく。
しかし、希望の光に満ちていた彼女の前途に、闇が忍び寄る。

――国中の彩花が花をつけない。

必ず咲くはずの、永遠の恵みの花。
彩花が咲かないということは、彩華国から神の恵みが失われたことを意味していた。
黒氏深影は『花乙女』に勅命を下す。

――花を咲かせるために、色の恵みを持つ者を集めよ。

葉月は花を咲かせられなかった責任を負い、街へと降りる。
色の加護を強く受け、特異な力を持つ者達の協力を得て、再び花の恵みを取り戻すために。
咲かない花、恵みの失われた大地、不安に揺れる人々。裏で絡まり行くのは思惑の糸。
めくるめく運命の花は咲くのか、それとも散ってしまうのか――。

サイト消滅:http://www17.plala.or.jp/hanakojika/

【おすすめポイント】
彩花は、同人サークルである華小鹿さんの初作品であり、かなりの力を注いで制作していた作品で、非常に完成を待たれていた作品でした。

ただ2009年かあるいは2010年ごろからホームページの更新が停止され、いつの間にか作品ページやそれ以外も消失してしまったという作品です。

もし手元にダウンロードした体験版があるのであればプレイを推奨致します。

美麗なイラストとかつてあったホームページのデザインの凝りようと同じように歩く演出レベルから調整された物語は当時圧倒的で現在でもまだその価値は薄れていないと思います。

彩花ブログやニコニコ動画にもフルコーラス版の投稿はまだ残っており、往時を偲ばせます。

1.3 彩花

1.4 月葬の城

月葬の城 月葬の城+
【Story】

遠く岩壁の上に、村から孤立した城がそびえたつ。
「黒月(ヴァール)の城」と呼ばれるそれは、昨年まで国の上皇が隠居する城だった。
今はあるじを亡くし、皇王の命により代理人が治めている。主人公は、修道院で静かに暮らす「聖女(イスタ)」。
ひと月前、ある大切な儀式をしくじり3年分の記憶を無くしている。
十四才から十七才まで――自分がどこで何をしていたか、
彼女は何も覚えていない。
そんな時、一通の手紙が届いた。『イスタよ、城へお戻り下さい。
黒い月があなたをお待ちです――』儀式の失敗以来、修道院にすら居場所のなくなった主人公は、旅に出る決意をする。
「黒い月が待っている……」
その言葉に、なぜか胸をつらぬく哀しい痛みを覚えながら。

【おすすめポイント】

月葬の城は、やや乙女向けのノベルゲーム 作品でした。

女性向けノベルゲーム 作品が少なかった当時ですのでダウンロードして手元に保持している方は少ないかもしれませんが、耽美的というか非常に艶のある文が特徴的でした。

世界観というか、文章から漂う雰囲気はコバルト文庫に近いかもしれません。

2007年という時代、乙女ゲームというジャンルで発表していたお姉さまサークルのひとつといえます。

1.4 月葬の城

1.5 ナルキッソス

【Story】

とあるカトリック系病院のホスピス。
通称「7F」と呼ばれるその場所には…
住人だけに受け継がれるルールがあるという。

【おすすめポイント】

2000年代ですら、あまり聞かなかった「ホスピス」「終末医療」がテーマのノベルゲーム作品であり、かなりの社会派作品でもあります。

個人小説サイトの開設者たち、あるいはそれに近い気質のクリエイターたちがノベルゲームで自分たちの作りたい物語、キャラクターを作っていたのに対して、真っ向から社会的なテーマ、しかも非常にストレートな形で「生命と死」を突き付けた。

非常に衝撃的な作品となります。本作は続編も制作されていますので、ナルキッソスが気に入った事は後続の作品についても是非手に取ってみてください。

1.5 ナルキッソス

1.6 時の故郷

Java プレアデスカンパニー

【Story】

アドベンチャーゲーム

【おすすめポイント】

古き良き時代のアドベンチャーゲームとそしてノベルゲームの融合のような形の作品です。

1.6 時の故郷

1.7 彼と彼女と彼女の忠義

吉里吉里2/KAG3
 non color

【Story】

ある日、ネコにつまずいて、
六畳一間に帰ってみたら、
見知らぬ女性が立っていて……。

日常追求型短編ノベル(ボイス付)

【おすすめポイント】

短編ノベルゲーム作品であるため、短い時間でさっくりとプレイ可能です。
日常的な会話でさくさくと店舗よく会話が進み、その会話のテンポが洒脱な為、気づけば最後までたどり着いていたというケースが多いかもしれません。

ラストについては、賛否両論様々な意見があります。
また、ボイス付きというのも2000年代の作品、かつフリーゲームとしては珍しい特徴です。

1.7 彼と彼女と彼女の忠義

1.8 時流

吉里吉里2/KAG3
 WhiteFlame

【Story】

流木家の養子「五条東馬」
幼い頃に両親を亡くし現在は幼馴染の「流木氷花」達と楽しく過ごしている。
ある日、彼は紅い夢を見る。

小さな小さな人影がふたつ。
黒い髪の女の子と、
蒼い瞳の男の子。

「お願いがあるの」
「……何?」

これは記憶に残る原風景。

【おすすめポイント】

ライトノベル風の絵柄という事もあり、とっつきにくさはあるかもしれませんが、段々とプレイしていくとよく練られた世界観にはまり込んでいくと思います。

1.8 時流

1.9 夢見石の庭で

夢見石の庭で

【Story】

春夏秋冬の物語

【おすすめポイント】

夢見石の庭ではCIRCLE 四季凪の初作品です。四季凪が同人サークルから早稲田大学の大学サークルになる頃合いまでの期間で制作され発表された作品です。

現在は完成版は頒布されておらず、体験版として全4章のうちの1章までがダウンロード可能になっています。

とある海と山に囲まれた街を舞台にした作品で、章毎に主人公が変わる群像劇の形式をとっていた作品です。

春夏秋冬の物語で構成され、大きな大団円を迎え撃つ冬に向けて春夏秋と様々な魅力的なエピソードが展開されていました。

1.9 夢見石の庭で

1.10 1999ChristmasEve

吉里吉里/KAG
 横浜かまいたちファンクラブ

【Story】

クリスマスイブに予約していた宿へ車で向かっていた主人公とパートナーの女性。

車内にBGMを流そうとするが、ラジオからは御経の様な不気味な声が流れ、
さらに突然、車のエンジンが故障してしまう。原因を調べようとエンジンルームを見てみると…

【おすすめポイント】

「1999ChristmasEve」という名のこの作品は、ニコニコ動画で実況も何作品か上げられています。
その為、プレイしたことはないが実況を見たことがあるという方は多いかもしれません。

夏の夜にプレイしたいノベルゲームランキングというのが存在したら、上位に入賞するであろう作品です。
ジャンルはホラーであり、とある場所に迷い込んだ主人公と段々と一体化して選択を迫られることになるでしょう。

1.10 1999ChristmasEve

2 2010年代のフリーノベルゲーム

2010年代のごく初期の物語を紹介していきます。

2.1 ユーマを抱きしめて

【Story】

君はここに何年くらい一人で住んでいるんだ?

【おすすめポイント】

擦れたような絵のクオリティ、逆光のようなキーヴィジュアル。非常におもしろそうな気配が漂ってくるというのが第一印象でした。

そして、それは裏切られない面白さです。

3 まとめ

同人作品とくにノベルゲーム作品は、多くが完成しないまま途中で物語が終わってしまいます。

そして完結した数少ない物語、ノベルゲーム作品のなかでもまた、多くの物語がサークルの消滅や様々な事情で消えていってしまいます。

失われる物語は多く、完成した物語は貴重です。

ノベルゲーム作品は多くの人と、時間をかけて作られる事もある為、ファンタジー・乙女ゲーム・SF・コメディ・女性向けなどのカテゴリー、ジャンル問わずサークルが入れ替わりを繰り返しています。

ひとつでも多くの物語-ノベルゲームが完成することを祈って。

関連記事について

上でご紹介したように、完結する姿を見ることなく、消えて行ってしまったゲームもございます。
こちらの記事でその中の数作をご紹介しておりますので、こちらもぜひご覧くださいませ。

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