Arts of Shikiangi 温泉担当がオススメするニッポンの温泉1(序章編)

旅紀行

本物の温泉を探して・・・

温泉-

それはある意味日本人の心の故郷かもしれない。
古くは各地に伝承が残る信玄の隠し湯にはじまり、明治・大正の温泉地への交通網の整備、昭和の団体旅行による温泉ブームの広がり、平成のテルマエロマエ― そして現在のサウナブームである。

「風呂は命の洗濯よ」―そう言っていた彼女が飼っていたのは風呂ペンギンではない。温泉ペンギンなのである。彼女もまた、温泉に恋焦がれていたのではないだろうか。(本当?)

そんなこんなで、この記事ではArts of Shikinagiの温泉担当こと、とーますが実際に巡り足で稼いだ各地の様々な温泉を紹介したい・・・

そもそも温泉とは何なのだろうか。広辞苑(第五版)によると・・・

・広辞苑による温泉の解釈
①:地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉。多少の鉱物質を含み、浴用または飲用として医療効果を示す。
②:①を利用した浴場

とある。①は一般的にも受け入れやすい、現代の日本人が理解している温泉の形態を解説しているものである。②についても同様だ。すなわち温泉とは「①熱せられて湧き出る泉(=源泉)」と、「②源泉を利用した浴場(湯屋・入浴施設)」であることが分かる。

一方、昭和23年に制定された「温泉法」によると、「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス」の中で、下記のうちいずれかひとつを満たせば温泉と名乗ることができるようだ。

・温泉法による温泉の解釈
①:温泉源から採取された時の温度が25℃以上のもの
②:溶存物質18種類(詳細は割愛)のうちいずれかひとつでも一定以上の値を満たすもの

そもそもで恐縮なのだが、「その他のガス」までをも含めて温泉と分類することは少し意外であった。元来、わが国では同じような性質があったとしても液体と気体では全く異なる省庁で管轄するきらいがあるからだ。例えばガソリンなどの引火性液体の危険物が総務省(消防庁)の管轄であるのに対し、LPGなどの気体は経産省の管轄であることが好例であろう。だからガソリンスタンド併設のLPガススタンドや水素ステーションが普及しない・・・いや、少し話がそれてしまった。
①の25℃以上という根拠はどこにあるのだろうか。そもそも温泉は地下水の一種であるが、よほどの深井戸でなければ地下水温はその地域の年間平均気温に依存する。我が国の年間平均気温は全国平均で15℃~16℃といったところであるが、もっとも高温な沖縄県の年間平均気温は24℃となる。つまり沖縄県の地下水温をもってしても到達できない温度であること。すなわち地下水がなんらかの地熱の影響を受けて加熱されたものであるということ。それが25℃以上ということであろう。

で、温泉って何なのさ。

・・・堅苦しい含蓄はここまでにして、やはり本物の温泉というのは「源泉かけ流し」であることは論を俟たないであろう。
かつて高度経済成長期に一世を風靡した強欲で低俗な団体旅行が、温泉宿と温泉のろ過循環式化を推し進める結果となったことは明らかである。実に嘆かわしいのである。

我々は一度立ち止まり、どのような温泉に入るべきなのか考える時が来たのではないだろうか。

我々が温泉に求める本質は何なのか。考えてみてほしい。

たとえ浴室が薄暗くとも、シャワーがなくとも、床がヌルヌルしていようとも…温泉を語り評価するための審査項目はただひとつ。「温泉の質」なのではないだろうか。

そんな視点にたって、筆者が全国を回って使った温泉の中からお勧めの温泉をいくつか紹介したい・・・

とは言っても温泉の質なんて語れるほどわからないんだがな!

・・・というわけで、来週から全国編・長野編の2本立てでオススメ温泉地を紹介します!

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